Style1 心理的影響

心理的影響

選手が活動している中で感じることや、大会のときに感じる事。
それを冷静に判断して、対応できるように参考にしてみてください。

プラトー

その競技を始めた頃は、急激に成績やタイムが上がるものですが、しばらくすると安定期に入ります。例えばタイムであれば、毎回同じくらいのタイムしか出ないなどと言った事です。
でも、これはスランプとは違います。まさに安定期です。実力がついてきた証拠とも言えます。ここからは、さらに複合的に練習を積む事によって、再び成績を向上させることができます。

スランプ

成績やタイムが低下する事です。
私自信、１年以上タイムが伸びなかったことがあります。これは、どんな選手にもほぼ間違いなくやってくるものであるとも言えます。
先ずは、原因の究明です。
・心身の疲労
・無意識動作のズレ
・心理的問題（プライベート，競技意義，敗北経験）
・外傷及び精神疾患（うつ状態など）
などが上げられると思います。
よって、対応としは休養もしくは練習量減少，種目変更，治療などが考えられます。
いろいろな方法があると思いますが、私は先ず冷静に原因を考えます。その次に練習量を落として種目や距離を変えてレジャー気分での練習に切り替えます。
そうすると、その別の種目（ときには水泳以外）も楽しくなってきて、またしばらくすると平泳ぎをやりたくてたまらなくなるんです。
そんなこんなで克服？してきました。

あがり

大会などで緊張しすぎて良い結果が出なかった事はありませんか？その状態を「あがり」といいます。

・心理的には．．．
　自信がなくなる
　落ち着こうと思ってますます緊張する
　自分のフォームなどの良し悪しがわからなくなる
　集中ができない
　その場から逃げたくなる　など

・生理的には．．．
　のどが乾く
　心拍数が上がる
　手の平にべったりの汗
　息が苦しくなる
　顔がこわばる
　震えがおきる　など

・克服方法
あがりは必ず克服できます。まずはそれを信じること。次にどう言う状態で緊張するか冷静に分析し、自分にあったリラックス方法を実施しましょう。

リラックス方法

リラックスする為には様々な方法があります。
・呼吸法
呼吸を深く吸いこみ、ゆっくりと吐き出す。これを３～５分くらい繰返しましょう。ずいぶんとリラックスできるはずですよ。特に吐き出しに意識を集中しましょう。
一番良いのは床に仰向けに寝る方法。他には座位での実施です。最初のうちは静かで落ち着く場所や好きな音楽をかけながら実施してみましょう。余裕が出てきたらお腹で息をしてみると効果が増します。
・ストレッチ
筋肉は神経を通し脳につながっています。脳でおこるの緊張は筋肉にも影響を与えています。（例：震えなど）ここでは逆に筋肉からリラックスさせることにより、神経や脳にゆとりを持たせることができます。呼吸を整えながら実施するとさらに効果的です。筋肉は気持ちの良い所で止めるのが基本です。「痛いっ！」と感じると筋肉は緊張をしてしまいます。１つの筋肉に３０～６０秒の時間をかけて伸ばしてみましょう。

動機づけ

選手にスポーツを行う事に対して達成可能な目標を持たせ、行動させることです。又、コーチは目標や計画を示すことです。とても重要であり難しいです。
手っ取り早く言えば、やる気にさせることです。
ただ「ガンバレ！」と言われている選手よりも、明確な目標や計画を示されている選手の方が成長の度合いが高くなります。

動機づけを高めるには．．．
　目標は達成できるものにする。
　目標は明確にする。
　成功した喜びを感じさせる。
　成功と失敗のバランスを整える。
　水泳に対する興味を深く持たせる。
　自発性を育て自分自身によって取り組ませる。
　誉める指導をする。
　賞罰を適切にする。
　などなど

動機づけには主に２種類あります。
・内発的動機づけ　
その行動の内側に報酬や満足がある場合。
例えば．．．
スキル向上・体力向上・目標タイムの達成・達成感などなど

・外発的動機づけ　
行動の外側に報酬や満足がある場合。
例えば．．．
メダル・トロフィー・ご褒美・周辺の人からの賛辞

又、選手側から見た動機には主に３種類あると言われています。
・攻撃的動機づけ　（やんちゃ系）
非常に熱心で活動的であり、相手を打ち負かそうと言う気持ちが強いですね。
しかし、怒りっぽくもあり、よく無茶をします。

・神経症的動機づけ　（とりあえず系）
本能的衝動や青年期の心理的葛藤のはけ口として取り組み、相手に対する敵意や決意が強いです。
しかし、欲求不満などが解消するとスポーツをしなくなってしまいます。

・能力の向上志向的動機づけ　（ゆうとうせい系）
スポーツに対する本質的価値を理解し自ら向上心・目的を持ってスポーツに取り組みます。
大会役員などとも友好に会話ができ、生涯に渡りスポーツを楽しむことができます。

この中ではもちろん、能力の向上志向の動機づけがもっとも良いですよね。
上の２つによる動機づけの選手がいれば、コーチが気持ちの持ち方も指導するべきですね。

フィードバック

目標とする運動を実施する時に、イメージと実際の動きにズレが生じます。
それを直すには、自ら感じることやコーチによって指示されたりなど、様々の方法があります。そのズレを直す為に修正を加えながら、再び練習を重ねます。
この運動のズレを直す為の情報をフィードバックと言います。

1．補助手段の必要性
　内在的フィードバック　運動しただけで得られる。
　付加的フィードバック　補助手段によって得られる。

２．時間的
　最終的フィードバック　運動が終わってから得られる。
　同時的フィードバック　運動中もしくは運動直後に得られる。

３．身体の内外的
　外的フィードバック　身体外部からの刺激や感覚で得られる。
　内的フィードバック　身体内部からの刺激や感覚のみで得られる。

１に関して
コーチの声やビデオなどは「付加的フィードバック」になります。「内在的フィードバック」は身体一つでできるフィードバックです。

２に関して
即時性が求められ、早い方が効果が高い事が知られています。極端な話しでは運動後１週間後に言われてもほとんど思い出せないですよね。
ですが、早すぎても良くありません。選手が自分の中で整理できてからにしましょう。

３に関して
上級者になれば「内的フィードバック」の能力が高くなります。具体的には、手の平の感覚や筋肉の動きなど身体内部からの刺激によるものです
「外的フィードバック」の例は水を飲んじゃう、手が水上に出ないなどの外部からの刺激によるものです。できるだけ早く「内的フィードバック」ができるように指導しなくてはなりません。

フィードバック方法

フィードバックには様々の方法があります。
主な方法は次の３種類です。

１．視覚的方法
ビデオや鏡などで、実際に自分の動作を目で見ながらのフィードバック方法です。

２．言語的方法
コーチによる言葉のフィードバックです。これが最もポピュラーではないでしょうか。
ちなみに「ダメだ！」「良かった」などのフィードバックはほとんど効果がありません。具体的にどこが悪くってこう言う角度にした方が良いなどの説明が理想的です。

３．筋運動感覚的方法
例えば、ヘルパーを付けさせて姿勢を定めさせる。補助動作をして、動作を身体で体感させるなどどいった方法です。

又、回数も微妙に難しい問題です。少なすぎてはダメで多すぎても混乱を招きますのでダメです。その練習者に合わせて適度に行いましょう。