【種目別とリハビリテーション】
剣道 アキレス腱断裂
剣道におけるアキレス腱断裂の発生機序は、素振りや打ち込み、掛かり稽古で踏み込んだ際の後ろ足となる左足のアキレス腱に伸張ストレスが加わることによる。 下腿三頭筋の中で腓腹筋は二関節筋であり、特に後方へ一時下がってから再び前へ踏み込むときには、足関節背屈位及び膝関節屈曲位より、足関節底屈及び膝関節伸展の動きをするためアキレス腱に大きなストレスをかける。 また、内的要因として足関節が内反傾向であれば、アキレス腱外側にストレスが加わり、外反傾向であれば、内側にストレスが加わり、損傷のリスクが高くなってしまう。
アキレス腱断裂には保存療法と手術療法があり、女性や一般人には傷の残らない保存療法が、アスリートには腱の緊張を調整できる手術療法が適用されるケースが多い。 受傷後もしくは術後は底屈位にて固定され、アスリートでは復帰まで5ヶ月程度を目安とする。 また再受傷を防ぐ意味で、背屈0°以上が獲得できるまで注意深くリハビリを進める必要がある。
初期においては、足趾へのトレーニングが主体となる。 足趾の開閉やビー玉拾いなどのエクササイズから行い、患部外のトレーニングに関しては積極的に実施する必要がある。 可動域が出せるようになってきたら、上記の通り背屈は再断裂を引き起こすリスクが高い為、アイソメトリックによる底屈運動から開始し、過流浴中での底屈のアイソトニック運動へとつなげて行く。 その後は段階をあげて過流浴の外での底屈運動。 徐々に徒手やチューブを使用してのを展開して行き、痛みが無い範囲で再び過流浴中での背屈運動を導入する。
荷重に関しては、初期のOKCから松葉杖を使用したり、台を掴むなどしてのスクワットなどでSCKSのトレーニングを導入する。 足関節の筋力トレーニングと可動域の改善を目的に段階的にリハビリを進めるべきである。 荷重は最終的にCKCへと発展するが、シッティング及びスタンディングカーフレイズで多めの回数を行なえるようにし、ランジなどの複合運動へ発展させる。 カーフレイズは初期において両脚で行い、リハビリ後期においては、片足でも実施をする。 歩行やJogなどから、徐々に踏み込み動作や素振りなどへと発展させ、その際にはリスク管理としてテーピングや装具を使用する。 また、平行して状況を見つつアキレス腱の伸張ストレスに対する耐性を回復させるためプライオメトリクスをボックスジャンプなどを用いて行なう。 最終的な競技動作として剣道の足裁きを導入し、強い踏み込みのある打ち込みや、対人での掛かり稽古などを行い、元立ちから対人の反射要素も入れてゆく。
競技復帰までには、足関節のアライメントチェックやMMTなどでの下腿三頭筋の筋力及び柔軟性における左右差、傷害前のデータ周径位などとの比較して競技復帰を許可するできである。
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