【種目別とリハビリテーション】
バレーボール ジャンパー膝
バレーボールでは、スパイクやブロックなどのジャンプ動作及び着地動作の繰り返しが多く、過度なストレスが膝蓋靭帯の炎症を招き、圧痛や運動時痛を伴うジャンパー膝となる。 内的要因としては、ジャンプでの着地フォームで、膝がつま先よりも前に出る肢位は膝蓋靭帯へ過度のストレスとなる。 他にもジャンプ時におけるアライメント異常が挙げられ、X脚やダイナミックアライメントでのニーイントゥアウトは、大腿四頭筋短縮による膝蓋骨亜脱臼の肢位となり、膝蓋靭帯内側へも過度なストレスが加わり、更に下腿外旋は内側から中央部そして外側までストレスを加える事になる。 その際の膝関節の屈曲角度や重心、筋の収縮状況などで大きく変化する。 また、ニーアウトトゥインによる同靭帯外側への疼痛や、大腿四頭筋の疲労などによる短縮によって膝蓋骨高位による中央部への疼痛もある。 外的要因としては、クッション性の低いシューズや、着地のフォームを乱す踵の擦り減ったシューズ、硬いサーフェス、ウォーミングアップ不足、低温度下でのプレーなどが考えられる。
リハビリ初期の目的は、安静による筋の廃用性萎縮の防止、関節可動域の維持などがあげられる。 クライオストレッチによる可動域訓練や、クワッドセッティングなどのアイソメトリックでの大腿四頭筋のトレーニングから開始する。 また、患部外のトレーニングや、下肢を使わず坐位で上肢によるボールを使った練習は、受傷直後から行う。
可動域が出せるようになってくればアイソトニックのトレーニングへ移行し、荷重も無荷重から部分荷重、全荷重へと段階を上げてゆく。 バランストレーニングやウェイトトレーニングも導入してゆくが、リスク管理として、膝蓋靭帯に過度のストレスをかけないよう、ランジやスクワットでの膝の位置やフォームチェック、テーピングによる膝蓋靭帯の保護、ウォーミングアップ及びクーリングダウンの徹底などをする。
Jogができるようになれば、競技動作である方向転換やジャンプ動作を導入してゆく。 また、ダイナミックアライメントの異常は再受傷につながる可能性が高いので、必ずフォームのチェックと再学習から入らなくてはならない。 特にジャンプのリハビリ展開は重要で、高さ・方向・回数・プライオメトリクス・競技動作ジャンプなど、様々な要素を入れて行うべきである。 高さは、その場ジャンプからステップ台などを使ったものまで行う。 方向は、フロントやサイド、ローリングやスライディングなどの距離を含め様々な方向へ行ってゆく。 頻度としては、単発ジャンプから連続ジャンプへ展開し、練習頻度も重要である。 また、踏み込んでからや走り込んで、最終的にはステップ台を使用しての、伸張反射を用いたジャンプを導入し、膝のジャンプへ対する耐性を高めてゆく。 最終的には。 競技動作である、スパイクジャンプやブロックジャンプをネット際で行い、シチュエーション的にボールを使用した練習、その後アンシチュエーション、対人などで行って実際の競技動作へ近づけてゆく。 また、ジャンプの無いサーブやパスなどのボールを使った基本動作や、ステップ動作、視覚トレーニング、ボールとプレイヤーの動きへの反射能力も並行してトレーニングを行い、練習への部分参加から復帰してゆく。
最終的な競技復帰には、ダイナミックアライメントのチェックや健側比、受傷前と受傷後とのサイベックスでのパワー測定や垂直飛びなどのテストデータ比較などを行い。 ドクターの許可をとってから試合へ復帰させてゆく。
Copyright ©Style1 All rights reserved.Never reproduce or repablicate without written permission.
|