【種目別とリハビリテーション】
テニス 腱板損傷
テニスにおける腱板損傷の発生機序は、サーブやスマッシュなどのストロークにおけるオーバーユースである。 肩の動的支持機構ははインナーマッスルとアウターマッスルで構成され、インナーマッスルは肩の求心性を高める作用がある。 このインナーマッスルとアウターマッスルのバランスが崩れ、求心性を高められなくなるとインナーマッスルであるローテーターカフが損傷を受ける。 従って内的要因としては、インナー及びアウターの筋アンバランスが挙げられ、その他にも肩のアライメント異常、フォームの未熟などが考えられる。 外的要因としては、ラケットの重さやガットの硬さ、気温、練習量の増加などが考えられる。
外転位・外旋位から力強い振り下ろしは、肩関節に加わる遠心性のストレスが増大する。 また、ボールがガットにミートしたときには肩関節外旋から内旋への動きをしている為、肩甲下筋へのストレスとなり、バックハンドストロークでは内旋から外旋に動きがあるため、棘下筋や小円筋へのストレスとなる。 また、サーブやスマッシュなどの挙上位からの力強いストロークは、棘上筋が肩峰下での挟み込みを起こす事も考えられる。
リハビリ初期では運動を中止させ、肩関節の可動域の確保や、インナーマッスルの筋力トレーニングから開始する。 筋力トレーニングや、徒手によるアイソメトリックからのラテラルレイズや内外旋運動を実施し、セラバンドなどを使用した外転・内旋・外旋運動へ発展させる。 その際にリスク管理として、負荷を段階的に増加させる必要がある。 従って近位抵抗から開始し、徐々に遠位抵抗へと発展させてゆく。 また、ウォーミングアップやクーリングダウン、フットワークなどの患部外トレーニングも実施しておく。
痛みも引き、可動域も大きく出せるようになれば、肩甲上腕リズムの改善を行う。 肩甲骨と上腕骨の内外転及び内外旋のリズムがあるように同じくセラバンドやダンベルなどを使い、肩甲骨の挙上・下制・内転・外転・上方回旋・下方回旋などと内外旋の動きを組み合わせてゆく。 トレーニングとしては、競技での衝撃に耐えられる肩を作る為、プライオメトリクスなども導入する。
アライメントとしてゼロポジションの確認や、筋バランスが回復してきた時点で、テニスの競技復帰に動作を導入する。 チューブでのストローク動作や、軽いラケットでの素振りなどから導入し、再受傷を防ぐリスク管理として、同じく軽いラケット、ガットも強く張らないものを用意し、ボールも軽めのものから基礎的なフォームである、フォアハンドやバックハンドなどのストロークから導入する。 ボールを打つ動作も最初は任意の場所へボールを出してもらってのシチュエーション練習から、徐々にアンシチュエーションへ展開させる。 その後、スマッシュはサーブなどの練習へ移行し、ラリー、、ミニゲームを経て試合へ復帰させる。
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